その他の日本のおすすめ小説

その他の小説家のおすすめ小説のコーナーです。

歴史小説・恋愛小説・推理小説・ミステリー小説・現代小説・純文学など、読書好きで小説ファンのわたしが、最近話題の本やこれまでに読んだ本のあらすじや感想、書評、そして、面白いおすすめ小説を紹介しています。

特に、ここに『 おすすめ小説 』として紹介した作品は、わたしが読んだその他の小説家の本の中から、『 感動した小説 』や『 おもしろい小説 』 などを管理人の独断と偏見で選び、各々にあらすじや感想、書評を記載して一覧にしたもので、これからも随時更新していく予定です。



★ 告白

湊かなえ さんの作品

おすすめ度


思春期にある少年の思いと歪んだ家族愛、そして、愛娘を殺された女性教師の復讐劇を描いた作品です。

終業式の日、担任の女性教師はクラス全員に向かってある衝撃的な告白を始める。
「私は、今月いっぱいで退職します。」
その理由は、四歳だった愛娘をこのクラスの生徒に殺されたからです・・・。
そんな衝撃的な告白から物語は始まって行く。
そして、女性教師が考えた驚くべき復讐の方法に驚愕せずにはいられません。
え!?そんなことを・・・

物語のストーリーは、ほとんどが登場人物の会話(モノローグ)で進んでいく。
その中の全員が自分自身の内面にある気持ちや感情、真実を話しているように見えて、
実際はどこか食い違っていることに違和感を覚えていました。
なぜ、そんな感情や行動になるのか?
そこには、色々な形の愛が自己愛を含めて垣間見えてきます。

思春期にある少年少女が抱えている問題は、こんな所にもあったんですね。
罪を犯してしまった子供もそうでない子供も、
結局は、みんなもの凄い孤独を抱えて生きているんだということに気付きました。
愛する家族を失った悲しみ、失う悲しみはこれほど深い・・・
ラストで語られる復讐のドンデン返しには、仰天しますよ。
あなたならどう考え、どう行動しますか?

★ 君と会えたから・・・

喜多川 泰さんの作品

君と会えたから・・・

おすすめ度


少年と少女の淡い恋物語に自己啓発系を重ね合わせた作品です。

ある夏の日、小さな書店の店番をしていた高校生のヨウスケ。
将来に対して漠然とした不安を抱えながらも、今だ自分のやりたいことが見つけられず、
ただ無気力に毎日を過ごしていた。
そこに偶然一人の美しい女の子ハルカが現れ、美しくもはかない初恋の物語が始まる。
そしてハルカは、メッセージが書かれた折り紙の飛行機を渡しながら、
その後のヨウスケの人生を大きく変える教えを惜しみなく伝えていく・・・。
しかし、そんなハルカに恋心を抱くようになったヨウスケの前に、
次第に明らかになっていくハルカの秘密とは・・・。

私の一生が終ってしまう前に、この本に出会えて本当に良かったと思います。
読み終った後も、ずっとたくさんの感動する言葉がいつまでも心に響いて、
モチベーションの高まりとともに、清々しい気持ちになれました。
登場する主人公は高校生ですが、年齢に関係なくすべての人に読んで欲しい一冊です。
人生を諦めている人、何をやってもうまくいかない人、これから何をやったらいいかわからない人など、すべての方にお薦めです。
元気が出てくる素敵なメッセージがいっぱい詰まってますよ。

★ 心にナイフをしのばせて

奥野修司さんの作品

おすすめ度


犯罪被害者家庭の人生をルポタージュしたノンフィクション作品です。

1969年春、川崎にある男子高校で悲惨な事件が起きた。
入学して間もない男子生徒が、同級生に首を切り落とされ、殺されたのである。
神戸で「酒鬼薔薇」事件が起こる、28年前のことである。
10年に及ぶ取材の結果、著者は驚くべき事実を発掘する。
殺された少年の母は、事件から1年半をほとんど布団の中で過ごし、事件を含めたすべての記憶を失って いた。
そして、犯人である加害者は賠償も放棄し、謝罪もないまま、大きな事務所を経営する弁護士になっていた・・・。

この悲惨な事件が被害者家族にもたらした苦悩の大きさを考えると、現実はあまりにも残酷だと思います。
それにしても、謝罪の言葉もなく、慰謝料さえまともに払おうしない加害者が、社会復帰に選んだ職業がなぜ弁護士なのでしょうか。
確かに、更生し一生懸命勉強して弁護士にまでなった加害者は努力家だと思います。
それも並大抵の努力ではなかったでしょう。
しかし、依頼された事件で加害者を擁護したり、被害者を弁護するという職業に、自らが凶悪犯罪に手を染めた過去を持ちながら携わることに違和感を覚えずにはいられません。
少年法という法律の在り方と、真の更生とは一体何なのかを考えさせられる作品です。

★ まほろ駅前多田便利軒

三浦 しをんさんの作品
(2006年・直木賞受賞)

まほろ駅前多田便利軒

おすすめ度


まほろ市の駅前にある便利屋、そこに舞い込む様々な出来事を通じて描く二人の男の物語です。

東京の外れにある「まほろ市」の駅前で、多田は「多田便利軒」という小さな便利屋を営んでいる。
そこに、高校時代の同級生の行天が突然転がり込み、気が付いたら家に住み着かれてしまっていた。
二人の男の元に舞い込む仕事は様々で、大半は部屋の掃除やペットの世話などの雑用であるが、時折危ない仕事の依頼が持ち込まれる。
謎だらけで破天荒な行天にはいつも振り回されっぱなしの多田であったが、仕事を通して次第に理解しあっていく。
そして、いろんな仕事をこなして行く内に明らかになる二人の予想外の過去・・。

多田と行天の二人のテンポがとてもよく、飽きさせないスピード感とリアリティ感があって一気に読んでしまいました。
その他の登場人物のキャラクターも物語に深い造形を与えているとともに、前後の話が少しずつ関連していて、人と人のつながりを強く感じました。
そして、最後はホロッとさせられ、どこか温かい気持ちになれる作品です。

★ 風に舞いあがるビニールシート

森 絵都さんの作品
(2006年・直木賞受賞)

風に舞いあがるビニールシート

おすすめ度


表題作の「風に舞いあがるビニールシート」は、東京の国連難民高等弁務官事務所で働く女性を主人公にした、愛するも離れ離れになることを選んだ二人の物語です。
その他、様々な価値観を持って懸命に生きる女性たちを主体に6つの短編を集めた小説です。

国連難民事務所で働く里佳は、広報部勤務で上司であるエドと恋に落ちて結婚するが、仕事一筋で現場主義のエドとの心のすれ違いから、ついに7年間の結婚生活にピリオドを打ち離婚した。
そのエドが、赴任先のアフガンで殉職したという知らせを受け驚愕する。
エドの死を受け入れることができずに立ち直れないでいる里佳を、ある日、エドがアフガンで助けた難民の少女に会ったという通信記者が訪ねて来る。
そして、エドが救ったものの大きさを知った里佳は、自分の心の中にあったしこりを見いだし、悲しみから立ち上がり、新たな一歩を踏み出そうと決意する。

わたしは、エドが語った 「僕は、いろいろな国の難民キャンプでビニールシートみたいに軽々吹き飛ばされていくものたちを見てきた。
人の命や尊厳も、ささやかな幸福さえもビニールシートみたいに簡単に舞い上がり、もみくしゃになって飛ばされていくところを・・」という言葉が特に印象的で、せつない気持になりました。
そして、エドの救ったものがどんなに尊くて大きなものであったのかを知るにおよび、感動とともに元気を貰ったような気がします。
自分の価値観を大切に守り、お金よりも大事なものを持って精一杯生きて行く。そんな、生きる力を与えてくれる作品です。

★ 日本沈没

小松左京さんの作品

日本沈没(上)

おすすめ度


地震列島日本の未来をも予見する、SFのジャンルの枠を超える小説です。

伊豆沖の小島が一夜にして海中に沈んだ。原因究明のため、深海調査に参加した深海潜水艇のパイロットである小野寺俊夫は、海底火山研究の権威で地球科学博士の田所雄介の指示の下、同僚の結城と共に日本海溝に潜った。
そして、そこで深刻な異変を発見し驚愕する。
折から日本各地に大地震や火山の噴火が続発、富士火山帯の活動も活発化していた。
日本列島がわずか1年後に沈没すると予測した田所博士であったが、他の科学者たちは「聞くに値しない妄想だ」と一蹴する。
しかし、内閣総理大臣の山本尚之だけは、この事態を重く受け止め、危機管理大臣として鷹森沙織を任命、秘密裏に「ある計画」を進める。
そんな矢先、関東地方を大激震が襲い、東京は壊滅状態となってしまう。
エネルギーの放出によって、今後はこのような大地震は当分ないだろうと言う大多数の研究者の中、田所博士だけは、日本列島が沈没する恐れがあることを予測する。
時を待たずして、北海道を皮切りに九州から内陸へと地殻変動の波が日本列島全土に襲いかかる。
もはや、日本沈没の可能性50%という結果が出るほどの状態になってしまった。
日本人は最悪の危機の中で、はたして生き残ることができるのであろうか。

次々と起こる大地震や火山の噴火の場面がまるで目に映るように衝撃的で、話の展開も面白く一気に読んでしまいました。
日本は地震列島と云われ、阪神大震災などの大きな地震も経験し、その恐ろしさも十分判っているつもりでした。
しかし、普段の平穏な生活に戻ると、何時しか人はその時の恐怖も薄れてしまうようです。
近い将来、東京に大地震が来ると予測されていますが、私自身どこか遠い未来の出来事と安心し、危機感を感じていなかったように思います。
この日本沈没という作品は、まるで近未来を予測するかのようで、背筋が冷たくなるのを感じずにはいられませんでした。

★ たそがれ清兵衛

藤沢周平さんの作品

たそがれ清兵衛

おすすめ度


普段はうだつの上がらない下級武士、清兵衛の意外な活躍を描いた小説です。その他7編が収録されています。

変り者でうだつの上がらない下級武士の清兵衛、下城の太鼓が鳴ると、労咳で寝たきりの妻の世話をするため家路を急ぐ毎日であった。
そんな彼を、人は「たそがれ清兵衛」と呼ぶが、当の本人はまったく意に介せず、妻の身だけを案じて暮らしていた。
ある日、お上から上意討ちの仕事を命じられた清兵衛。
妻を名のある医者に診てもらうことを条件に、しぶしぶ引き受けた清兵衛であったが、その秘められた剣の腕前は抜群であった。

「たそがれ清兵衛」を始めその他7編も、その風体や性格ゆえに、普段は侮られがちな主人公であるが、いざというときに出す鮮やかな剣さばきとのギャップが痛快かつ斬新でした。
また、人斬りの描写も残酷でなく、物語としての結末も爽やかな読後感があります。

★ 天国までの百マイル

浅田次郎さんの作品

天国までの百マイル

おすすめ度


落ちぶれた中年男と余命幾ばくもないと診断された母との親子の情愛、そして男女の恋物語を描いた小説です。

バブルの崩壊で経営していた会社は倒産、金もなく、別れた妻子への仕送りもできないほど落ちぶれてしまった中年男の城所安男は、「ブスでデブ」を自認するホステスのマリ子と同棲し、ヒモのような生活で食いつないでいた。
そんな時、入院先の主治医から母の余命がもう幾ばくもないと診断され愕然とする。
6畳一間のアパートで女手一つで子ども4人を育て上げた母親であったが、安男の兄姉は年老いた母親とのかかわりを避けるように一切を病院にまかせてしまう。
そして、かつては羽振りが良かった頃に付き合っていた友人達にも、まるで手の平を返したように冷たくあしらわれる。
自分一人の力で母の命を救うことを決意した安男に残された手段はただひとつ、天才的な心臓外科医がいるというサン・マルコ病院でバイパス手術を施してもらうことしかなかった。
衰弱した母を乗せたワゴン車は、奇跡を信じて100マイルの道のりをただひたすらに走った。

わたし達は毎日の生活の中で、他人への思いやりや人を愛することに対し、時に人間として大切なものを見失いがちになってしまいます。
人間は決して一人で生きている訳ではない、本当はいろいろな人たちに支えられて生きていると言う事を学んだ主人公のように、この本は、そんな大切なものを思い出させてくれます。
そして、本当に大切なものは何かを考えさせられる作品です。

★ 天下城

佐々木 譲さんの作品

天下城(上)

おすすめ度


戦国時代、幼い頃に落城の体験を持つ主人公が、石積み職人として難攻不落の城作りを目指した姿を生き生きと描いた小説です。

武田軍に平穏な暮らしを奪われ流浪の旅に出た主人公の市郎太は、軍師・三浦雪幹に弟子入りをし全国を遍歴する。
師の遺志を受け継ぎ、軍師として身を立てようと考えていた市郎太であったが、城造りの才能が、彼を石積み集団・穴太衆のもとに導くくことになった。

この当時、一介の石積み職人でありながら、天下に轟く武将達との臆することのない駆け引きの様子などから、己の信念を曲げない職人としての心意気が伝わってくる作品です。

★ 落日燃ゆ

城山三郎さんの作品
(吉川英治文学賞受賞)

落日燃ゆ

おすすめ度


東京裁判において絞首刑を宣告されたA級戦犯7人の内、唯一の文官であった広田弘毅の生涯を描いた小説です。

平和的協調外交を自らの信念にして、軍部主導の日本政府の中で必死に戦争回避の努力を続ける広田弘毅であったが、その努力も報われず、暴走する軍部の行動によって遂に戦争が起こってしまう。
戦後、戦争を引き起こした張本人である軍部と共に、A級戦犯として逮捕された広田。
しかし、東京裁判において「戦争止めることができなかったことは、まったく無罪とは言えない」という彼の信念は一切の弁明を許さなかった。
そして、戦争を止められなかった責任を自らに課して死を受け入れ、A級戦犯として絞首刑になる。

彼は、軍部主導であった当時の日本政府の中で、日本の将来、そして今後の世界の中における日本の立場を先見の目で考えることができた不世出の政治家であったとわたしは思います。
そして、その信念と私利私欲のない潔い生き方は、現在の政治や外交を考える上でも必要不可欠なことではないでしょうか。

★ 兎の眼

灰谷健次郎さんの作品

兎の眼

おすすめ度


昔の懐かしい匂いを背景に、学校教育とは何か、真の教育とは何なのかを問いかける小説です。

小学校の新任女性教員となった小谷先生が受け持ったのは、学校では一言も口を利こうとしない鉄三や、様々なハンディキャップを持つ子どもたちがいるクラスだった。
ゴミ処理場にたかるハエにしか関心を示さず、決して他人に心を開かない鉄三に打ちのめされる小谷先生。
しかし、鉄三の祖父のバクじいさんや「教員ヤクザ」のあだ名を持つ足立先生、そして純粋な心を持った子供たちとの触れ合いと奮闘の中で、彼女自身も次第に成長していく。

泣き虫だった小谷先生が注ぐ愛情から少しずつ心を開いていく子どもたちとの心の触れ合いに感動し、そして人間が持つ可能性に気付かされ自然と涙が出ました。
今の日本社会が失ってしまったものを問う感動作品です。

★ 点と線

松本清張さんの作品

点と線

おすすめ度


時刻表のトリックを用いた推理小説です。

福岡市の海岸で発見された男女の無理心中死体。それは、汚職事件の渦中にある某省課長補佐とその愛人であると誰もが思っていた。
しかし、そこには人の先入観による盲点の恐ろしさがあった。

伏線のはり方や鉄道の時刻表からアリバイを崩して行くストーリー。
そして、最初は関係ないと思われていた点と点が一つの線へと繋がっていく過程などが、時代を超えても面白く読める作品です。






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