小説とは、広辞苑によれば、坪内逍遥による「小説神髄」の novel の訳語で、文学の一形式であり、作者の想像力によって構想し、または事実を脚色する叙事文学であるとされています。
また、韻文形式だけでなく、語り手が物語るという形式からも、自由となった市民社会で成立した文学形式でもあります。それは、古代における伝説、叙事詩、中世における物語などの系譜を受継ぎ、近代になって発達し、詩に代って文学の王座を占めるに至っています。
ここで、「小説とは何か」 について考えてみました。
小説で最もポピュラーな形式は、自由な文章で書かれた散文というものです。 しかし、自由な文章で綴った詩や日記、エッセイ等は同じ散文形式で書かれたものであっても、小説とは違った物として捉えられています。 それでは小説は、表面的な形式だけによって区別されるものではないということになります。
では、何を基準に小説とするのでしょうか。
わたしは、小説とは自分を表現する手段であると考えています。例えそれが、創造されたものでも、事実や事件をありのまま客観的に書かれたものであってもいいと思っています。
従って小説とは、筆者が第三者に対して訴えるものやメッセージがあれば、どれも本質的には同じものであり、その表現の仕方によって、第三者に与える影響も変わってくる文章の集まりであるとわたしは考えています。