三浦綾子さんのおすすめ小説

三浦綾子さんのおすすめ本のコーナーです。

歴史小説・恋愛小説・推理小説・ミステリー小説・現代小説・純文学など、読書好きで小説ファンのわたしが、最近話題の本やこれまでに読んだ本のあらすじや感想、書評、そして、面白いおすすめ小説を紹介しています。

特に、ここに『 おすすめ小説 』として紹介した三浦綾子作品は、わたしが読んだ三浦綾子さんの小説の中から、『 感動した小説 』や『 おもしろい小説 』 などを管理人の独断と偏見で選び、各々にあらすじや感想、書評を記載して一覧にしたもので、これからも随時更新していく予定です。


三浦綾子さんのプロフィール

三浦綾子さんは生前、結核、脊椎カリエス、心臓発作、帯状疱疹、直腸癌、パーキンソン病など度重なる病魔に苦しみながら、クリスチャン(プロテスタント)としての信仰に根ざした著作を次々と発表されました。
その中でも、1966年に朝日新聞社より出版された『氷点』は、71万部の売り上げを記録する三浦綾子さんの大ベストセラーとなり、その後映画でも上映され、また数度にわたりテレビやラジオでドラマ化されています。
三浦綾子、1922(大正11年)生まれ、北海道出身。享年77歳。



★ 広き迷路

広き迷路

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都会という迷路に潜む人間の孤独と欲望を、息詰るサスペンスで浮き彫りにした異色長編小説です。

早川冬美は銀座のデパートで店員として働いていた。
そこへ、高級官僚を父に持つというエリート社員の町沢加奈彦が、冬美の担当する売り場で買い物をしたことがきっかけとなり、恋人として付き合うことになった。
「君を町沢冬美にしたい」と激しく迫る加奈彦の言葉に、冬美は都会に出てきた幸福感に浸っていた。
だが、札幌に出張しているはずの彼を都心のホテルで見かけて以来、冬美の心に不安の影がよぎる。
明るく問い詰める冬美に対し、他人の空似だと白を切る加奈彦は、会社の派閥争いを理由に次第に距離を置こうとする。
そしてある日、加奈彦から専務の娘との縁談の話があるという事実を聞かされた冬美は驚愕する。
専務のところへ乗り込むという冬美の存在を疎ましく感じだした加奈彦は、ある取引と引き替えに同じ専務派の田條久吉に彼女の殺害を依頼する。
その後、専務の娘と結婚した加奈彦は、会社の上司の結婚式に出席した折り、死んだはずの冬美にそっくりの女性と遭遇する。しかし、そこには恐るべき罠があった。

出世欲のために人を裏切り、人殺しまで依頼する。人間の欲望はどこまでも止めがない。
人間の価値とは、死んで棺桶にはいる時、その人が生前に為したことで決まると思います。
一時期の名声や身分など、死んでしまえば何もなく、皆同じなのではないでしょうか。
他人を踏み台にして欲望のままに生きた加奈彦の人生、そこに人間としてどれほどの価値があるのでしょう。そして、復讐を成し遂げた冬美の人間としての価値もまた同じであったと思います。
都会に潜む孤独感、その孤独感は自分を迷路へと導く危険な罠を孕んでいるのだと感じました。

★ 細川ガラシャ夫人

細川ガラシャ夫人

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愛と信仰に殉じた細川ガラシャ夫人の生涯を描いた歴史小説です。

明智光秀の娘、玉子は、主君である織田信長の命令により細川忠興の妻となった。
しかし、信長との意見の違いやむごい仕打ちに耐えかねた光秀は、ついに織田家に叛旗をひるがえす。
本能寺で信長を討った光秀であったが、天下統一も叶わず秀吉に敗れ明智家は滅亡する。
そして、その時から逆臣の娘としての苦難の日々が玉子を襲うが、そんな彼女を救ったのはキリストの教えであった。
秀吉によるキリシタン弾圧が強まる中、強い信念を持って生きたガラシャ夫人(細川玉子)の生涯。

女性は男性の所有物で、政略の道具としてしか使われなかった時代、そんな時代でも自分に信念を持って生きた玉子の強さ、そして教養の深さに感動しました。
そして、愛と信仰の力は、人に強いエネルギーを与えるものかもしれないと思いました。

★ 氷点

氷点

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人間の弱さ、そして原罪とは何かを追求した作品です。

辻口病院の院長である夫は、妻の不貞を問い詰めることが出来ない屈折した憎しみと、「汝の敵を愛せよ」という教えの挑戦として、その事実を隠し、愛娘を殺害した殺人犯の娘を養女にした。
陽子と名づけられ、明るく素直な少女へと育っていくが、ある日、陽子が殺人犯の娘であることを妻が知ってしまう。

登場人物それぞれの立場に立って考えたとき、人間の持つ内面の弱さとは何だろうか、人間はこれほどまでに苦悩しなければならないのか、そんなことを深く考えさせられる作品でした。

★ 続・氷点

続・氷点

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”ゆるし”をテーマにした、「氷点」の続編作品です。

自殺から奇跡的に助かった陽子は大学生となった。
そして、血がつながった妹ではないと知った兄は、陽子のために実の父母探しを始める。
陽子を女として愛してしまった兄の苦悩、いじわるを続ける母、その他、新たに陽子を取り巻く人々の姿を通して、罪のゆるしとは何かを考えさせられる作品です。

人間は罪を抱えて生きているのでしょうか、そしてその罪はいつ許されるのでしょうか。
また、他人を許すということは、結果的に自分自身を許すことになるのか。
前作に続き、「人間の原罪」について考えさせられるとともに、最後は感動的なシーンでした。






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